Carl Wittrock – カール・ヴィトロック
タラモア卿 |
●原題:Lord Tullamore
●グレード: 3 ●演奏時間:約8分 ●第28回サマーコンサート
ドイツの作曲家、カール・ヴィトロック(1966-)の2001年の作品。彼は日本ではあまり知られていないが、最近の作曲家にしては現代職の薄い、安定感のある美しい響きやメロディーと、それでいて飽きさせることのない構成の上手さが魅力である。題名中の「タラモア」はアイルランド中部にあるウイスキーの醸造で有名な町で、タラモア卿というのは作者がイメージした架空の人物のようである。作品はそのアイルランド民謡を模した親しみやすいメロディーを持つ、3つの部分からなる。パーカッションの力強いリズムとファンファーレで曲は始まり、速く情熱的な第1部、故郷を想う夜のような、ゆったりとした第2部、ダブルリードによる素朴な舞曲が勇壮に展開していく第3部と続き、クライマックスとなる再現部で第1部と第2部の主題が共に奏された後、短いコーダに入り曲を締めくくる。 始めのパーカッションの音型が第1部の主要なモチーフとなっていたり、第3部の終わりに、冒頭のファンファーレの主題がフルートにより対旋律的に現れたりと、全体の構成も良く練られている。 アイリッシュな雰囲気と、そこに息づく音楽、そして構成美を感じて頂きたい。 (第28回サマーコンサート) |