D.マスランカ「交響曲第4番」曲紹介

こんにちは!打楽器パート三回生のふぃぶりんです!

今回は、定期演奏会の第2部最後にお送りいたします、D.マスランカの交響曲4番を紹介させていただきます!

僕はこの曲と3月頃に出会い、聴いた瞬間神曲すぎて一目惚れならぬ「一聴き惚れ」してしまいました(笑)。

「絶対にこの曲を定期演奏会でやりたい!」その思いが久保田先生に伝わったのか(?)、この度演奏させていただくことができ、とても嬉しく感じています。

阪吹では、「Liberation」「子供の庭の夢」「交響曲第5番」「交響曲第7番」「交響曲第8番」と多くマスランカの楽曲を取り上げてきました。

今回演奏する「交響曲第4番」は第44回定期演奏会以来、9年ぶりの再演となります。また、マスランカ作品を取り上げることも第47回定期演奏会での「子供の庭の夢」以来、6年ぶりとなりました。久しぶりとなりました阪吹サウンドで奏でられるマスランカ、楽しみにしていただければ幸いです!

それでは、曲紹介をどうぞ!

この作品は、D.マスランカ(DAVID MASLANKA 1943-2017)によって、1993年に作曲された単一楽章の交響曲です。

この曲の指揮者である久保田先生に選曲理由を伺ったところ、

「この曲をもう一度演奏したいと思った理由は、マスランカ作品にみられる宗教的な精神性が魅力的なことと、音楽的なアイデアの面白さ、多様性に惹かれたところです。」とのお言葉を頂きました。

ここで、彼のホームページよりこの作品についての解説部を紹介します。

交響曲第4番は、私の大曲の中で圧倒的に人気がある。この曲は27分の単一楽章で、一連のつながったエピソードから構成されている。交響曲は大きく2つに分かれ、第1楽章は力強い精神の啓示に彩られた人生のエネルギーと混乱、第2楽章は神への旅路である。この交響曲の核となる要素は、賛美歌“Old Hundred”の引用である。カール・サンドバーグの“Abraham Lincoln: The War Years”を読んでいて、リンカーンの葬儀列車がオハイオ州コロンバスに停車し、州議事堂で棺が公開された後、ブラスバンドが “Old Hundred “を演奏する中、棺が待機していた列車に運び出されたことを知り、このメロディに出会った。私はこの曲を使って作曲をはじめ、内面的なものからジャジーなもの、爆発的に息をのむようなものまで、多くのバリエーションと感情を作り出した。このエンディングは、私の音楽における壮大な瞬間のひとつであり、人々がこの曲に魅了される理由だと思う。

Symphony No. 4 – David Maslanka

とても簡潔に言えば、賛美歌“Old Hundred”をモチーフとした交響曲なんです。賛美歌を使っているため、宗教色が全面に押し出された曲かと思いきや、そうではありません。マスランカは、キリスト教を通して、普遍的な人間性の深さ、そして宗教的なレッテルによって定義されない意識へと移行しようとしてきました。この音楽を通して、この混沌とした時代における変容と再生という人間の根本的な問題に語りかけたい、というのが彼の真の衝動だったのです。

この曲の一番の魅力は、彼の解説、そして久保田先生のお言葉にもあるように、主題の変奏のバリエーションの豊富さでしょう。“Old Hundred”だけでなく、バッハの”Only Trust in god to Guide You“ ”Christ Who Makes Us Holy”、といった賛美歌も使われているのですが、それらが目まぐるしく形を変えて登場します。

オーケストラのような美しいハーモニー、室内楽のような繊細な中間部、激しいラテンチックな変奏部、パイプオルガンのような重厚な響き、、30分なんてあっという間です。

では、これより僕の個人的なおすすめポイントをいくつか紹介させていただきます!

冒頭ホルンソロ


この曲はホルンただ一本による、静かなソロから幕開けです。前半部はほぼこのフレーズの変奏から成り立っています。

譜例1 冒頭ホルンソロ

フルートソロによって奏でられる“Old Hundred”とその裏で色々やるトランペット鍵盤楽器など。


ゆったりとした主題の裏で様々な場所から細かいフレーズが聞こえてきます。マスランカがよく使うやつです。交響曲7番でも似たような箇所があるのはおなじみですね。実は“Old Hundred”、ここで初登場です。

譜例2 フルートソロ  “Old 100”と共に”sing out”(高らかに歌え)の指示が

緩徐部でのアルトサックスホルンユーフォのソロ


美しい。その一言にすぎます。僕が最も好きな場面です。

譜例3 アルトサックスソロ後半部  554小節目から入るピアノも最高だ

太鼓三人での超絶技巧


三人でトムトム9つ、ボンゴ3つを使っています。かっこいいです。自慢の後輩たちがかっこよくキメてくれます。

譜例4 588小節目からの太鼓アンサンブル

鍵盤楽器


超絶技巧といえばこちらも。マスランカは鍵盤楽器に容赦ないです。

譜例5 ヴィブラフォン  この箇所のテンポは♩=130だ。

トランペット


音がとにかく高い。高すぎる。なんと最高音はhiGです。しかしうちのトップ奏者にかかれば大丈夫。本番もバッキバキに高音をキメてくれますよ。本当にかっこいい。すごい。尊敬しかないです。

譜例6 トランペット譜  hiE,hiFと高音が並ぶがこの後hiGが待ち構える

久保田先生


マスランカを愛してやまない久保田先生。今回も熱い思いをもって我々にぶつかってきて下さいました。そして、先生の情熱的な指揮に導かれるように、演奏もエネルギーにみち溢れたものとなりました。本番どのような演奏になるのか非常に楽しみです。

マスランカ交響曲4番、大変高難度な曲であり、完成には非常に苦労しました。

それでも、夏からこの曲に向き合ってきた集大成を出せるよう、本番ギリギリまでこだわり抜きます。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

では、マスランカの世界をどうぞお楽しみください!

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